冨樫心理士の留学レポート (2018年 2月)




ウエスタン・ミシガン大学でのフルブライト留学を始めてからおよそ2年が経ちました。

大学では、授業に参加するだけでなく、地元学校で発達障害をもつ子ども達のお手伝いをしたり、学生の指導を行っています。
文化や言葉の違いから、思うようにうまくできないことがまだたくさんありますが、指導教授のリチャード・マロット先生をはじめ、素晴らしい同僚達に恵まれ、日々新しいことを学び、楽しく過ごしています。



昨年は、国務省教育文化事業局とフルブライトの招待で、ジョージ・ワシントン大学で開かれた5日間のセミナーに参加しました。
このイベントでは、教育における正義(educational justice)テーマに、米国における教育の現状や課題について学びました。
そして、参加をした50カ国97名のフルブライト生、大学教授、政府関係者等と意見交換を行いました。
さらに、昨年は、獨協医科大学埼玉医療センターでお世話になり、現在、カナダのThe Hospital for Sick Childrenにご留学をされている井上建先生とトロントで感動の再会を果たすことができました。



米国では、30年以上にも渡るエビデンスの蓄積と、効果的な治療を求めるご家族の熱心な活動の結果、応用行動分析(Applied Behavior Analysis:ABA)が自閉症に対する科学的アプローチとして急速に普及しています。
その一例として、私が留学をしているミシガン州では、2012年のMichigan's Autism Insurance Reform legislationの施行以降、ABAが自閉症治療(18歳以下)の保険対象となりました。
また、ミシガン州ではABAを用いた治療の質を保障するため、数年以内に、ABAを用いる専門家の免許化が行われる予定です。

このように、発達障害をもつ子ども達に関わる法律の整備と、それにあわせた臨床現場における質の高い治療の普及が進められている米国で、できるだけ多くの知識と技術を身につけ、帰国したいと考えています。