子どものこころ診療センターについて
獨協医科大学埼玉医療センター 子どものこころ診療センターは、2010年に開設されました。
当時は発達障害者支援法の施行から日が浅く、「子どものこころ」という言葉も今ほど広く使われてはいませんでした。
発達障害(神経発達症)や摂食障害のあるお子さんたちは、社会の中で十分に理解されていなかった時代です。
センターといっても、開設当初の医師は初代センター長・作田亮一先生ただひとり。
小児神経科医としての専門性を生かし、食べることが難しいお子さんや、集団生活の中でうまく過ごせないお子さんたちと向き合いながら、子どものこころの診療の奥深さとその必要性を日々実感しつつ診療にあたりました。
「小児を取り巻く心の問題が社会的ニーズとして高まるなか、専門的な医療機関として継続的に診療を行う必要がある」―その強い想いから、当センターはスタートしました。
開設からおよそ15年が経ち、現在では多様な専門性をもった小児科医が集まり、子どもの心身の健康にかかわるさまざまな課題に取り組んでいます。
多職種が連携する診療体制を整え、小児科医、臨床心理士、ソーシャルワーカー、リハビリテーションスタッフ、看護師などが一つのチームとして協働し、一人ひとりのお子さんとそのご家族を支援しています。
当センターでは、主に「神経発達症と小児心身症の二本柱」を中心に、以下のような疾患・課題を診療・研究対象としています。
● ADHDや自閉スペクトラム症などの発達障害(神経発達症)
● 小児・思春期の摂食症(神経性やせ症、回避・制限性食物摂取症など)
● 起立性調節障害、機能性頭痛、過敏性腸症候群などの小児心身症
● 不登校、睡眠障害、不安症、うつ病、チック症、肥満、ゲームや動画視聴に関連する問題
これらに対して、外来・入院による医師による診療、心理療法、リハビリテーション、家族支援、音楽療法、学校との連携支援など、多様なアプローチで対応しています。
さらに当センターは、診療の場としてだけでなく、子どものこころに携わる専門職が育つ場としての機能も果たしています。
教育、研究、関連学会活動などの情報発信にも積極的に取り組み、地域における中核的な役割を担っています。
(当センター業績)
私たちの活動の原点は、目の前にいるお子さんとそのご家族の幸せです。
医療だけで解決できることには限りがあり、教育機関や行政、療育施設など、子どもたちの支援に関わる多くの方々と連携しながら、これからも地域と共に歩むセンターを目指しています。
2025/5/5
センター長 就任の挨拶
いま、神経発達症(発達障害)や起立性調節障害などの心身症、それに関連した不登校など、子どものメンタルヘルスに関する問題は、ますます重要な社会課題となっています。
私たち子どもこころ診療センターは、こうした課題にチームで取り組むべく、前任の作田亮一先生を中心に2010年に誕生しました。
私は2025年よりその意志を引き継ぎ、現在も多職種による一つのチームとして支援にあたっています。
当センターは、小児思春期の摂食症における専門的医療機関として、全国有数の診療実績を有しており、その機能を今後も継続・発展させてまいります。
さらに、子どもの睡眠の問題、不登校、チック症、ゲームや動画とのかかわり方、肥満など、社会的関心の高い課題にも引き続き対応してまいります。
常に大切にしているのは、「目の前にいるお子さんとそのご家族の幸せを願い、今できる最善を尽くす」という姿勢です。
米国では、小児科研修プログラムにおいて発達行動小児科学(Developmental-Behavioral
Pediatrics)のローテーションが必須化されつつあり、2024年以降はうつや不安など、メンタルヘルスに焦点をあてた研修も広がっています。こうした国際的な流れを国内でも実践すべく、子どものこころ専門医の研修施設、公認心理師の実習施設としての役割を担いながら、教育・臨床研究・啓発・健康増進にも積極的に取り組んでまいります。
「センター」とは、多様な人々が集い、つながる場所。
私たちも、子どものこころに関わる人々が集まり、学び合い、支え合う場所として、この診療センターを育てていきたいと願っています。
獨協医科大学埼玉医療センター
子どもこころ診療センター センター長
井上 建
センター長 退任の挨拶
2025年3月末日をもって、獨協医科大学埼玉医療センター 子どもこころ診療センター センター長を退任いたしました。
在任中、皆様から多大なご支援を賜り心より感謝申し上げます。
2010年にセンター発足以来15年間、「子どもの身体と心を育む」をコンセプトに掲げ、発達障害・小児心身症分野における多職種専門診療チームを組織し、臨床、研究、教育に邁進してきました。
その間に当センターで研修を受けた優秀な医師や心理士が、各地で子どものこころの診療を実践してくれていることは、私の誇りです。
私の願いは、診療のなかで出会った子どもたちが、「まずまずの自己像を持ち 社会のなかで 木漏れ日が射すような居場所があり その子なりに 家族や周囲との関係を築いて 成長し続けてくれること」です。
今後は、井上建先生にこの思いを託し引き継ぐことができるので安心しています。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
獨協医科大学埼玉医療センター
子どもこころ診療センター 初代センター長
作田 亮一